第10回研修会
日本医師会館
H30.6.30

ICT、地域包括ケア

ICT、地域包括ケア

   今回のワールドカフェ形式でのグループディスカッションでは、「職員研修・クレーム対応・医賠責」、「労務管理・働き方改革」、「ICT・地域包括ケア」、「入退会・会費・経理」、「災害対応」の5つのセクションに分かれて開催した。
 「ICT・地域包括ケア」の参加者は16名が希望しており、グループディスカッションのルールである「他者を否定しない」「結論は求めない」としらぬい研修会の当初から変わらない基本テーマ「顔の見える交流」をモットーにリラックスして会話をしてもらうことを共有し、2テーブル8名ずつに分かれて自己紹介と名刺交換、リーダを決めて開始した。
  前半のテーマ「ICT」では「ICT身近で活用していますか?」「日常業務でこんな活用しているよ!」という例題を業務の効率化と業務システムの2つに分けて話してもらった。
  第1テーブルでは広島県医師会より話題提供としてWeb文書確認システム「ASTRUX」の紹介があり、Web決裁システム導入の経緯は週1回の常任理事会の際に直接文書に押印をするため大量の文書に常任理事会中ずっと押印作業に追われることから、電子化した文書をあらかじめ電子的に送り、役員の日常の空いた時間に押印出来ないかと役員から依頼があったため、仕組みを考えたとのこと。重要視したことは事務局では職務と役職の順が「直列」となるが、役員になると誰が最初でも良く全員が確認できればよい「並列」な運用が出来ることが必要となるため、システムに臨機応変な仕組みを取り入れたと紹介された。ただし、運用費が高いため導入については費用対効果の検討が求められると添えられた。
  第2テーブルでは診療報酬改定の際の説明会などのビデオ・オンデマンド化や書籍のデジタル化を進めて日時にとらわれない効率化がこれからは必要。YOUTUBEなどの無料サービスでの提供も視野に入れた費用の掛からないオンデマンド化も話されていた。
  医師会事務局として業務のICT化は進めていくが出来ればこのような研修会でもっと他の医師会と話して共有できるシステムがあれば一番良いと話されていた。
  後半のテーマ「地域包括ケア」では直近の国の動向から未来投資会議の資料を基に各地域の取り組みについて説明して意見交換をした。「地域ケア会議」「在宅・介護連携推進事業」「多職種連携」を行政が主導でやっているケースと医師会が主導でやっているケースがあり、鹿屋市地域包括支援センターから29年度の実績と30年度事業の取り組みや那覇市医師会より「ちゅいしーじ」という機関紙を発行しているケースが話題提供された。
  これから地域包括ケアに関わる医師会や積極的に関わっている医師会など、各地域によって医師会のかかわり方の温度差があり、様々な問題点があること、多職種の連携で顔の見える関係と良く言われるが、「その人が何をやっていて」「どのように考えているのか」まで良く理解しないとなかなか連携の強化だったり、情報の共有化などはうまくいかないことが挙げられた。
  最後に各テーブルのリーダに総評を発表してもらい、「ICT」と「地域包括ケア」のどちらも医師会にとって進めていかなくてはならない必要なことはわかるが、地域や規模によって差があるため、この会のグループディスカッションで聞いた地域の取り組みや効率的な仕組みなどを参考に自分の医師会へ持ち帰り、その地域にあったものにブラッシュアップしていくことが重要だと締めくくられた。

  ※資料:ICT・地域包括ケア
文責:担当幹事 別府市医師会 田能村祐一

第1テーブル  第2テーブル